おっぱい日記

濃厚な甘味を求めて…

 幸せオレンジ「天使のおっぱい」とネーミングしているおっぱい畑は、わずか…17a。
「天使のおっぱい」(通称デコポン)を植える前は巨峰(ぶどう)のハウス畑でした。平成15年を過ぎたころから我が家も老化が進み、労力の低下がじわじわとやってきました。仕方なく、巨峰から不知火柑へ思い切って切り替えることにしました。
 夏になると枝を大きく広げ立派な房をつける巨峰。隆々と元気な白い幹を切るとき、この巨峰を超えるおいしい不知火柑を絶対に作ろうと心に決めました。
 私たちが「天使のおっぱい」に求める味は、食べた人が思わず笑顔がこぼれる、ひと時の幸せを感じる味です。もっと具体的に言うと、「濃厚な甘味」に笑顔が宿ると信じています。

ミルク「カキ殻」栽培!

 どうやったら、この恵まれた自然を十分に生かし、天使のおっぱいの濃厚な甘味をひき出すことができるのか…?
 そこで思いついたのが、海岸に打ち寄せられているカキ殻を畑に投入することでした。カキは「海のミルク」とも呼ばれるほど、カルシウムなど海の栄養を含んでいます。
 パーキンソン病の父、そして腰痛をこらえた母もいっしょになって手作業でカキ殻を拾い集め(2トンダンプ10台以上)畑の中に投入しました。
 それから、歳月が流れ、幸せオレンジ「天使のおっぱい」は、どこにも負けない元気な木に成長しています。


▲完熟堆肥を投入中です。

:-) 写真右上

平成17年、海岸に打ち上げられたカキ殻を家族で拾い集めているようすです。(海の沖には天草の島が見えます)

:-) 写真右

カキ殻を苗木の間に入れています。白く見えるのが、カキ殻です。

おっぱいの木も人と同じ

 おっぱいの木も人と同じで、同じものばかり食べていたら、栄養が偏ってしまいます。また、窒素が多すぎると、体は大きくなっても病気に弱くなり、味も悪くなります。だから、カキ殻のほかに、発酵した家畜糞、サンゴ、油粕、ヌカ…、といった多種の有機物を投入しています。そして木の持つ力を最大限生かすため、微生物の力を借りた発酵アミノ酸農法を取り入れていきたいと思っています。
 アミノ酸は、人にも木にも元気の源があるような気がします。

ザリガニやメダカが元気一!

 おっぱい畑には、乾燥した時に水をまく灌水設備があります。その水は阿蘇山に水脈があると言われている美味しい地下水。そのおこぼれの水がおっぱい畑の横の小さな水路へと流れ出ています。水溜りのような水路をよく見ると、ザリガニや今では絶滅危惧種と言われているメダカが元気に泳いでいます。これは、水がきれいであること、そして環境を大切にしようとする、この地区の農家の人たちの意識の表れであると私は思っています。ちなみにおっぱい畑では、雑草を枯らす薬を散布しないことや農薬を極力減らすように努めています。

 

私たちができること

 世界では、たくさんの子どもたちが飢えに苦しみながら“小さな命の火”を刻々と消しているそうです。
 そこで少しでも私たちができることとして、ミルク代の一部にでもなってほしいと、幸せオレンジ「天使のおっぱい」の収益金の一部を平成22年、ユネスコに送ることが出来ました。また、平成23年には、幸せオレンジ「天使のおっぱい」とおっぱいジャムを東日本大震災で被災した岩手県へ送ることが出来ました。これもみなさまのお陰と深く感謝申し上げます。どうか、飢えに苦しむ子どもたち、そして被災されました皆様に一時でも幸せの笑顔が舞い降りますように。